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TAKU’s BRAIN vol.11『レベルアップに必要な組織作り ?ストレングス編?』

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斎藤卓ヘッドコーチが考える、チームの組織力を成長させるために必要な3つのカテゴリー。『スキル』『メディカル』に続き、今回は最後となる『?ストレングス』について。東京Zへの復帰を果たした吉田修久パフォーマンスディレクター/スポーツサイエンティストの『吉田PD/SS効果』に迫ります。

NBAでの経験

前回お話した『メディカル』も今回の『ストレングス』も、“選手の体をサポートする”という立場は同じです。何が違うかというと、メディカルは、良い状態でプレーができるように体の準備や調整をする。緩んだネジを締め直すようなイメージです。ストレングスは、正しい動きをするために必要な筋力や弱い部分を見つけて、そこを強化したり修正する役割となります。

『ストレングス』というカテゴリーにおいて日本人の中でもトップレベルの知識と経験を備えているのが吉田PD/SSです。
かつてはNBAのサンアントニオ スパーズで2011-2013の2年間、アスレティックパフォーマンスコーチとして活躍していました。その文字だけでも彼の凄さは伝わると思いますが、実際に今彼がチームで何を行っているのかを僕の口から可能な限りお話したいと思います。

筋力とパワーを最大限に高め、複合的な動きをトレーニング

吉田PD/SSが考える、現状の日本バスケットボール全体のパフォーマンスに於いて一番重要なことは『筋力とパワーの強化』です。最近の風潮で『正しい身体の動かし方』ばかりに焦点がいき、『筋力とパワーの強化』が足りずにパフォーマンスが上がらないケースが多く見られますが、十分な筋力やパワーを備えている選手が正しい動きをトレーニングすることで、より効率的なパフォーマンス強化と怪我の予防になります。まずは正しいトレーニングで身体を強くすること。その上でいかに強い身体を効率的かつ正確に動かすことができるかが、重要になると考えています。

また、パワーに必要な要素は『パワー=筋力×スピード』です。単純に重い物を上げる力を向上させれば良いというわけではなく、筋力に加えてどれだけスピードを上げることができるか。バスケットボールに必要な動きを最大限の筋力でいかに早く正確に行えるかが、次に重要になります。
例えば高くジャンプをして空中で相手とコンタクトした後に、素早く前方に移動してさらに横方向に動く。バスケットボールではこういった複合的な動きの精度を高めることが必要になってきます。身体を最大限強くした上で、そこに+αの動き作りを合わせていかないと意味がありません。

吉田PD/SS は「こういう選手はこの動きができないといけない」といった知識はもちろん、2mを超える外国人選手が実際にどれだけ身体が強く、どれだけ早く正確に動けるのか。さらには『NBA選手は1歩でこれだけの距離をこれくらいのスピードで移動することができる』といった具体的な知識も持っています。
こういった知識や経験というのは、選手を育てる面においても非常に重要なことですし、実際に見て学んでいる人というのは国内にあまり多くはいないと思います。
合流して約2ヶ月。トレーニングにプラスしてスポーツ生理学的に効率的なプログラムを組んでいるので、時間が経つにつれ選手の身体はどんどんと変わっていっています。
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スポーツを科学の面で見る知識

更に彼の凄いところは、NBAでの活動後、イースト・テネシー州立大学へ入学。博士課程でスポーツサイエンスを学んだことです。

スポーツを科学的にも研究していたので、例えば、怪我のリスクにも繋がる疲労のコントロールができます。より具体的にいうと、怪我などのリスクを最大限落とすために、練習の強度をコントロールすることができるのです。

一つの例として、毎回練習後に、選手から10段階で自分の『主観的疲労度』をとって集計。「今週は、強度はこれくらい。ボリュームはこれくらいでやるのが良いです。」と、練習の内容や時間の指針を作ってくれています。あくまでも選手自身の主観的な数値ではあるのですが、その数値を毎日とってモニタリングすることで、選手の疲労度を把握し、試合に向けてのバイオリズムを管理してくれています。

また、チームはシーズン中も継続して選手の体力を維持したり、強化をしていく必要性があります。普通『体力をつけるためには』と考えると、『走って心肺機能を鍛える』」というような方法が想像できるかと思います。。
しかし、走るということは距離が増えれば増えるほど怪我のリスクが上がります。特に身体の大きい選手ほど、体重が重く、走ることによる踵や膝への負担が増えるので、なるべくなら避けたい。

そんなことを相談した時に彼が言ったのは、「走るボリュームを上げて心肺機能を強化しなくても、ストレングストレーニングで筋力を上げながら、それと同時にいわゆる筋持久力的要素を上げれば体力はつく。」ということでした。
僕も東頭ACも最初は半信半疑だったのですが、彼の指示通りに進めたら本当にその通りになったんです。強度が高い練習をするようになっても、主観的疲労度があまり変わらなかったり、選手によっては数値が低くなっていきました。これには本当に驚かされましたし、吉田PD/SSじゃなければ絶対にできないやり方だと思います。

選手自身も、自分の身体とよりしっかりと向き合うようになってきましたし、『吉田PD/SS効果』というのは日に日に増えてきていると感じています。
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机上の空論にならない伝え方

吉田PD/SSには、ストレングスコーチだけでなく、パフォーマンスコーチのようなことも担ってもらっています。

彼自身元々バスケットボールのプロの選手だったので、必要な動きや身体の使い方を実際にデモンストレーションすることができるんです。これも、彼ならではの強み、他のストレングスコーチにはなかなかできないことかなと思います。

スキルを担う東頭ACは、『こういう場面では、こういう選択をしてこういうスキルを使わないといけない』と伝えることができます。それを吉田PD/SSが、『そういう時の体の動かし方はこうで、この姿勢でプレーしないといけない。だから、あのトレーニングが必要なんだよ』ということを実際に動いて見せることができる。言っていることは理解できても、正しい動き方がわからないと意味がなくなってしまいます。机上の空論ではなく伝えられれば、選手の理解度も全く違いますよね。

また、一緒にやっていたのがNBA選手なので、「彼だったらこういうやり方もあった。」というような言い方もでき、よりリアルな話もできる。スパーズでやっていたシューティングメニューを練習の最後に取り入れることもあります。スキルとは別で、身体の動かし方からみたコーチングができているので、非常に助かっています。
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全てはB1昇格、世界に挑むために

世界を知るスタッフ・世界で戦ってきたスタッフを3人も集めることができ、組織の強い礎ができつつあると感じています。ここからは、選手のパフォーマンスを上げて結果をだし、いかに我々のミッションに繋げていくかが重要です。

どんなに素晴らしいことをしていても、結果が伴わなければ意味がありません。
現状に誰一人満足していませんし、まだまだこのチーム・選手は強くなれると信じています。もう一段階強くなるために、『勝利』という結果はもちろん、『世界に挑む』『選手が成長する』という目標達成により拘って戦っていきます。
B1昇格、更には世界に挑むためににも、 応援していただいている皆さまに、一つでも多くの勝利や喜びをお届けしたいと思っています。チームが成長する過程も一緒に注目いただけるよう一丸となって一戦一戦挑みます。引き続き、試合会場で我々の後押しとなるご声援を宜しくお願いします。
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