今シーズンのスローガンXCEED（超える）を表現する1つのキーワードは「逆転」。
今回紹介するのは、長崎ヴェルカのインターンから現役プロ選手へ復帰した、金城知紗選手の「逆転ストーリー」です。

金城選手のバスケ人生は、「挫折」や「苦悩」の連続だった。
それでも、バスケを続けてきたのは、ご両親はじめ多くの人たちの理解や支援があったのも大きいが、最も大きいのは自身が「続ける」ことの大切さを忘れなかったことだろう。

「エリートでも何でもない自分が“続ける”という、ただそれだけをやってきたことによって今があるんです。
人間、続けることがいちばん難しいと思うんです。
挑戦したこと、自分が良いと思ったことは、ぜひ続けてほしいです」
 
こう話す金城選手は、中学卒業後、強豪校へは進学せずに県立那覇高校のバスケットボール部でプレーしていた。

「中学の時は、きつい練習が嫌で部活を辞めようと思っていました。
逆に高校では、練習が楽で、中学時代とのギャップから辞めようと思いました。
それでも、バスケを続けていれば可能性があると思い、続けることにしました」
 
大学は天理大学に入学した。
天理大学は関西学生リーグを3連覇するなど関西地域の伝統校。
入学後、金城選手は高校時代に全国大会に出場経験のあるチームメイトのレベルの高さに驚愕した。
そして、3年時に1年間休部し、アメリカ・ロサンゼルスの大学で語学留学をする。
 
「もうバスケはいいかなぁと思って留学をしました。
でも、留学先でさまざまな国やいろいろな年代のクラスメイトと生活をともにしているうちに、自分が中途半端だと思い、帰国後にバスケ部に復帰しました」
 
復帰した金城選手を天理大学のチームメイトは温かく受け入れてくれた。
 
大学卒業後、親に「1年間時間をください」と頼み、実業団でバスケットを続けながらプロ選手を目指していた。
 
そして2019年、仙台89ERSに練習生として入団。
その後、ケガ人が出たこともあり、同年11月24日にプロ選手としてコートに立ち、早速得点をマークした。
 
「運が良かったですね。デビュー戦は、東京Z戦だったんですよ」
 
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズンは途中で終了。
翌年、B3のさいたまブロンコスに入団したが、チームは最下位と低迷した。
 
「自分自身のパフォーマンスも低く最下位のチームと契約更新できなかったことで、移籍先はなかなか見つかりませんでした。
トライアウトにエントリーしたのですが、その頃コロナに感染してしまい、トライアウトは断念しました」
 
その後、金城選手は故郷の沖縄に帰り、バスケットボール界へ復帰できる可能性を探っていた。
 
そんな時に、仙台時代にHCだった桶谷大さんの紹介で、桶谷さんがHCとして指揮していたB1琉球ゴールデンキングスの練習生として加入し、ふたたび現役復帰を目指していた。
しかし、練習生ではスタッツ（出場時間や得点数などの数値）がなく、契約まで至るクラブは現れなかった。
 
そこで、インターンとしてB2長崎ヴェルカに所属することになる。
長崎では、選手のプレーをビデオで撮影し、パフォーマンス映像やデータを細かく分析する任務を全うした。
 
「おかげでビデオという他の選手にはない新たな武器を身につけ、他の選手が持っていない観点からバスケットを客観的に見ることができるようになりました。
長崎はアナリストスタッフもハイレベルで、とても勉強になりました。
そこで学んでいくうちに、学んだ知識をコートで活かしたいと思うようになってきたんです」
 
そして今シーズン、アースフレンズ東京Zと契約し、プロ選手として復帰した。
 
「現役選手から離れていた2シーズンが遠回りではなかったことを証明するのが、僕の逆転ストーリーです。
客観的に見れること、考えられるようになったことをコート上で、自分のプレーで表現して、東京Zの勝利のために活かしたいです」
 
そして最後に、今の心境を打ち明けてくれた。
 
「所属先がなくなってた自分に戻らないように、毎年が勝負のシーズンなんです」
 
今シーズンにかける金城選手に、ぜひ試合会場で声援をください。

(コラム担当：AKIRA)

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