村越圭佑 開幕前インタビュー
今シーズンで東京Zに入団して4年目となる村越圭佑選手。けがに悩まされながらも、3番ポジションへのコンバートという課題を背負い、復帰へ向けて走り出した。
奮闘した昨シーズン
昨シーズンを振り返って「けが人が多かったシーズンですね」と、第一声でけが人の多かった昨シーズンを振り返る。昨シーズンの東京Zはスターター5人のうち4人がけがでいなくなるという危機的な状況に陥った。「ここまで多いのもなかなかないと思いますし、残りのシーズン出場不可能になってしまったメンバーもいました」。
しかしメンバーが足りないからこそ、村越の活躍が一層輝いた。「けが人が多くてもチームが一つになって戦い切れたとはすごく感じました。特に最終戦はオンザコート1の状態で、相手は強敵のFE名古屋、外国籍選手も強い選手が二人いて、それに帰化選手もいました」。危機的な状況の中、オンザコート1のチームを支えたのは村越だ。相手の外国人選手とのマッチアップでも当たり負けしない強さを見せ、17得点、11リバウンドとシーズン集大成を見せつけた。「チームで戦い抜けたんじゃないかなってすごく思います」と、謙虚に話すが、村越の奮闘があったからこそ、昨シーズンの最終戦までチームで戦うことができた。
村越を東京Zに引き止めた想い「みんなに恩返しがしたい」
他のチームから、移籍の話は頂いていたという村越。それでも東京Zに残ることを決めた。「3年間所属させてもらっていますが、結果で何も返せていません。応援してくれるファンやスポンサーの方々には、自分が1年目のプレータイムが平均1.2分くらいの時から応援して頂いていました。でも結果で恩返しはできていません」と、結果を残したい一心で東京Zに残ることを決めた。
加えて、東頭HCの影響も大きい。村越は今シーズンから3番のポジションへのコンバートに向けてチャレンジしている。現在はけがもあり練習できていないが、「東頭HCの元で学びたいという気持ちもあって、残ることを決めました」。
けがの状況
現在療養中の村越。2年程シンスプリントで足を痛めており、今年の6月末からプレーができないほど痛みがひどくなっていた。「今までは騙し騙しでプレーできていたんですけど、我慢してプレーできるレベルではなくなってしまっていました。病院に行ったら疲労骨折していて、7月、8月の2ヶ月は全く練習ができていません」。
今はチームに合流せず、別メニューに取り組んでいる。「最近ウォーキングを始めました。自分は右足が外転して、膝が内側に入ってしまうので、そうするとすねに負担がかかるんです。それをフラットな状態で着地できるように意識しています。骨格や癖もあってなかなか難しいと思うんですが、意識するだけで変わってくると思います」。意識付けの意味も込めて、歩く練習から始めた。徐々に5分から7分の低強度のジョギングもできるようになり、足の使い方の変化を感じている最中だ。
「目に見えて置いていかれている気がします」と、バスケットができない現状に焦りも感じている。今シーズンから新加入の紺野ニズベット翔選手と仁平拓海選手も、村越と同様に4番ポジションから3番ポジションにコンバートする予定だ。「今はその二人が3番としてプレータイムをもらっています。二人とも合流したての時に比べて、格段にレベルが上がっていますし、そういうプレーを見ているとすごく焦りは感じます。焦らなくていいよとは言ってくれますが、内心めちゃめちゃ焦りはありますね(笑)。プレシーズンゲームや練習試合を見ているとやりたくなってしまいます。自分は加減ができなくて0か100か極端で、手を抜いてプレーしたり動くことが苦手なんです。今は我慢をすることがとてもしんどいです(笑)」。
それでもけがは順調に回復に向かっている。体を騙しながらであれば去年のようなプレーもできるが、昨シーズン以上のものを村越は求めており、チームからも求められている。加えてポジションを変えるとなると、運動量も増え負担がかかるため、再発のリスクが上がる。「今はただ復帰するよりも、色々な人の意見を聞いて自分に合ったものをピックアップして試した上で、復帰したいと思っています。それで再発してしまったら仕方ないですが、色々試したいと東頭HCとも話しています」。復帰に向け、ベストな状態を模索している。
復帰の際には、昨シーズンのような4番ポジションでのプレーはもちろん、それ以外に今までやったことのない3番ポジションでのプレーを体現しなければならない。「早く追いついて、さっさと追い越したいです。2ヶ月もまともにシューティングすらしていませんし、対人感覚もなくなってしまっています。そんなに簡単じゃないことは分かっていますが、人よりはトレーニングをする時間はあるので、フィジカルだけでも負けないように体を作って、再発しないように治していければと考えています」。
チームと自身の役割
東京Zで迎える4年目のシーズン、村越は今シーズンのチームを「とてもいい雰囲気で、仲もいいです。全体的に若いので、声の掛け合いや、いい意味での言い合いもできる」と笑顔で話す。
もともと声を出して発信する方ではなかった村越。しかし、今はベンチにいるからこそ声を出すことの大切さを感じている。「誰にでもできることですが、率先してやって行かなければいけないと思っています。今は仁平や翔とはもともと同じポジションだったので、気付いたことがあれば伝えるようにしています」。外から見ているからこそできることを探して、チームのために積極的に取り組んでいる。
一方で不安も口にした。「多くのメンバーが新しいポジションにチャレンジします。幸太郎(久岡幸太郎選手)とテツ(柏倉哲平選手)は元々のPGのポジションを極めていきますが、増子さん(増子匠選手)も小原さん(小原良公選手)もPGにチャレンジします。3番ポジションなんて、僕、仁平、翔のやったことのない3人がチャレンジするので、難しいところはあるかもしれません」と語った。
しかし不安なことばかりでもない。「不安もありますが未知数で、その分楽しみやワクワクするという気持ちもあります。結果が出せれば選手としての自分の幅が広がりますし、この身長で3番ができたら強みになります」と、チームの不安要素をポジティブにとらえている。
村越選手にとっての「Go!Amazing!」
今シーズンは本格的に3番ポジションへのコンバートを目指す。昨シーズンまでの村越のコート上でのイメージに、ドライブやスリーはない。「3番としてプレーして『お前こんなプレーもできるのか!』、『村越がドライブした!?』、『スリーも決めたぞ!?』って言わせたいですね」。
未知なる可能性に、村越自身も期待を寄せる。 けがでバスケットができていない分、復帰後の思いは人一倍強い。思いだけではなく、それをプレーでも見せてくれるはずだ。今までの3年間で見たことのない姿を、4年目のシーズンで見せつける。