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【PLAYER STORY】井手 拓実「生きている事は当たり前ではない」

 

生きている事は当たり前ではない死の恐怖を乗り越え、Zに戻ってきたキャプテンの決断

 

B.ONE初年度となる今シーズン、アースフレンズ東京Zのキャプテンとしてコートに立つ井手拓実。
常に誰よりも大きな声を出し、力強くチームを牽引する彼には、バスケットボールができること、そして今コートに立てていることへの並々ならぬ思いがある。
死の淵から生還し、再びZのユニフォームを身に纏う決断をしたキャプテンの「逆転ストーリー」に迫った。

ルーツと、Zとの出会い

 

兄の影響でバスケットボールを始めた井手は、名門・福岡第一高校、そして日本体育大学でキャプテンを務めてきた。当時の経験が、今のプレースタイルの土台になっている。

「高校大学で学んだキャプテンとして大事にしている事は、コート上で1番声を出すリーダーシップです」

プロの世界へは広島から飛び込んだ。しかし、そこで「色々な壁にぶち当たった」とプロの厳しさを痛感することになる。
その後、大阪を経て、東京Zへ移籍。当時のZへの第一印象をこう振り返る。

「最初にアスフレに来た時は、チームにはBリーグ唯一のベンチャー企業として高みを目指しているところに、僕もその高みに行く力になりたいなという思いがありました。大田区はとても住みやすくて暖かい街だなという印象を持ちましたね」

 

絶望の淵と、光となった家族の存在

 

彼の競技人生における最大の試練は、2025年6月、地元である福岡に移籍した直後に訪れた。 翌7月末、がんが見つかったのだ。

「最初に頭に浮かんだ事は『死への恐怖』ですね。生きている事は当たり前ではないなと実感させられました」

病気という、自分自身ではどうにもコントロールできない壁。
絶望に押しつぶされそうになる彼を支え、光となったのは、愛する家族の存在だった。

「治療中には本当に沢山の方々に助けられました。1番は妻と娘です。本当に常に明るく僕に対してポジティブに振る舞ってくれて、何があってもずっとそばに居るからと安心させてくれる言葉をかけ続けてくれました。その他にもファンの方々や当時のチームメイト、友達など沢山の方がメッセージをくれて本当に力になりました」

彼にとって家族とはどんな存在なのか。そう尋ねると、真っ直ぐな言葉が返ってきた。

「妻と娘には本当に感謝しかないですし、僕の全てなので1番大事なかけがえのない存在です」

1分1秒を大事に。驚異の復帰とZへの帰還

 

家族や周囲のサポートを受け、8月6日に手術を受けた井手は、そこから驚異的な回復力を見せる。
約2ヶ月後の10月2日、見事開幕戦のコートへ復帰を果たしたのだ。

「あの時は本当に嬉しい気持ちでしたね。バスケができて、またファンの皆さんの前でプレーを見せられる喜びを改めて感じました」

死の恐怖と向き合い、大きな病を乗り越えたことで、彼の生き方はより研ぎ澄まされたものになった。

「病気を経験してからは、本当に1分1秒を大事にしていかないといけないなと感じています。生きている事は当たり前ではないので、今の自分がやりたい事を後悔なくやる為に、自分の中での決断はしっかりと出来るようになったと思います。バスケが上手くなる為に最善の決断と努力をする。日々の生活では妻と娘との時間をより多く作るようになりましたね。妻と娘がいての僕なので本当に毎日感謝していますし、かけがえのない存在です」

そして2026年1月、彼は再び東京Zのコートでプレーする決断を下す。

「まずは話があった時に、山野社長、飯田GMをはじめとしたアースフレンズの関係者の皆様に恩返しがしたいなという思いがありました。もう一つは、今よりもっとバスケが上手くなりたいと思ったので決めました」

 
 

キャプテンとしての決意

 

オフの日は基本的に家族で過ごし、大田区内では「大森ふるさとの浜辺公園」がお気に入りだという井手。
心身ともに充実した状態で、今季はキャプテンとしてチームを引っ張る。
目指すのは「どんな状況になってもチームとして崩れずに助け合えるような、チーム力の強いチーム」だ。
AKヘッドコーチから学んだことで、強く心に刻んでいるマインドセットがある。

「常に自分がNo.1 PGだという気持ちでプレーをする。たとえ今日の試合がダメでも、相手のチームに『今日俺が調子悪くてラッキーだな、明日覚えてろよ』って気持ちでプレーするといい。この2つのマインドセットが特に印象に残っています」

病気や怪我、挫折と戦っている人へ、自らの経験を踏まえてこうメッセージを送る。

「ポジティブなエネルギーは負のエネルギーを打ち消す力があります。常に明るく元気にいるのは大変ですが、どうか前を向いて自分の信じる道を生きてください」

最後に、ファンとバスケットを頑張る子どもたちへ、熱い思いを語ってくれた。

「まずはファンの皆様、いつも沢山の応援をありがとうございます。ファンの皆様の応援の声は本当に僕の力になっています。僕も力を届けられるようなプレーを出来るよう頑張りますので、引き続き宜しくお願いします。 そしてバスケを頑張る子供達へ。上手く行かない事や辛い事は沢山あると思いますが、どんな時でも自分自身の事は信じて前を向いてください。自分を信じてやり続ければ必ず力になります。目標は高くといいますが、まずは目の前の事から一つ一つ頑張ってみてください」

今季の個人の目標は「僕自身がチームを勝たせられるPGなんだって事を証明すること」。そしてチームの目標は「優勝」。 1分1秒に懸けるキャプテンの熱きプレーから、今シーズンも目が離せない。

   

取材:アースフレンズ東京Z スタッフ


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