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TAKU’s BRAIN vol.6『シアトル滞在記~世界基準、日米との差~』

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更新までかなり時間が経ってしまったシアトル滞在記のコラムですが、今回はその続編となる第2弾です!!!
 
前回はシアトルにいるスキルコーチのJasen Baskett氏について、また彼の指導スタイルや彼のバスケットシステム、さらには僕なりに気づいた日米の選手の内面の違いを書いてみました。
 
今回はさらに踏み込んで日米のプレースタイルの差やスキルの差について書いてみたいと思います。


世界基準とは

前回書いたようにTornadoes活動で渡米していた僕らは、Jasenのところでチームオフェンスのトレーニングに多くの時間を費やしました。練習していた「Jasenシステム」と呼ばれる彼のシステムは、基本的にはベーシックな形が一つあるだけなのですが、最初はかなりみんな苦労していましたね。

それはなぜか?

本来であればディフェンスの状況やシチュエーションによってプレーを変えないといけないこのシステム。
そのプレーの変化と判断こそがJasenシステムの肝でもあるのですが、正直最初はその判断のスキルがかなり未熟でした。未熟だからこそ正しいプレーの選択ができず、結果システムとしてもまったく機能しない。

Jasenが練習中に「No No No!!!」とか「Why?」と最初の頃は連呼していましたね。
判断が未熟なのでシステムに必要な分解練習をいくつも行い、まずは限定された状況下で正しい判断ができるようにする。そしてまたチーム練習にフィードバックする。

この作業を繰り返すことによって、チームは少しずつ正しい判断ができるようになってきましたし、前回のコラムでも書いた「考える力」が育まれてきました。
スポーツでも仕事でもどんな組織でも同じだと思うのですが、ミスや失敗には必ず原因があるんですよね。
その原因をどう扱うかによってチームや組織の成長の伸び代が変わってくると思います。
当事者にしっかりとその原因を理解させて再発させないようにコントロールする。
これこそがコーチングなのではないでしょうか。

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今回のチームは素地として考える力や判断する力が高かったかと言うと決してそんなことはなかったと思います(みんなごめんね)。ですが、ECBAでJasenとトレーニングすることによって確実に成長できたと思いますし、選手自身もそれは感じていたと思います。
僕はコーチなのでプレーはしていないですが、日を重ねるごとにチームとしての成熟度が上がっていきましたし、選手の中身のレベルが上がっていくのを間近で見れて楽しかったですね。

ただシステムというものは試合で役立たなければなんの意味もありません。
試合でうまくチームが機能しなければ、極論そのシステム自体が良くないのか、選手の特性にフィットしていないかのどちらかだと思います。
NBAでもヘッドコーチとともにチームのシステムが変わり、成功するチームもあれば大失敗するチームもありますよね。まさにそういうことだと思います。

選手が試行錯誤し、トライ&エラーを繰り返しながら少しずつ成長して育んだJasenシステム。
果たしてこのシステムを機能させることができるのかどうかを試す絶好の場として設定されていたのが、『Seattle Basketball Pro-Am』(以下、『Seattle Pro-Am』)と言う、アメリカでも有数のレベルの高さのサマーリーグでした。


Seattle Basketball Pro-Amへの参戦

余談ですがここで少し『Seattle Pro-Am』の説明を。

アメリカではバスケットボールのオフシーズンである夏に全国各地で「サマーリーグ」と言われる地域独立のリーグ戦が各所で盛んに行われています。
レベルは場所によって千差万別ですが、Seattle Pro-Amは国内でも有数なハイレベルなリーグで、文字通りプロもアマチュアも出場するリーグになっています。NBA選手もたくさん参加していました。

主なプレイヤーを挙げると
■ジャマール・クロフォード(ロサンゼルス クリッパーズ)
■アイザイア・トーマス(ボストン セルティックス)
■ザック・ラヴィーン(ミネソタ ティンバーウルブズ)
■ジェイソン・テリー(ヒューストン ロケッツ)
■ネイト・ロビンソン(元シカゴ ブルズ、デンバー ナゲッツ等)

とかですね。

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ネイト・ロビンソン、ザック・ラヴィーンはNBAのダンクコンテストチャンピオンだから、あまりNBAを詳しくなくても知っている人は多いんじゃないでしょうか。
特に今年のオールスターでのダンクコンテストは物凄かったですよね!!!

あのダンクコンテスト2連覇したザック・ラヴィーンも目の前で普通にプレーしているんです。
さらにはオールスターに初出場したアイザイア・トーマスもガチンコでプレーしている、そんなリーグが「Seattle Pro-Am」なんです。

日本にいた時はテレビを通してでしか見ることのできない選手が目の前でプレーしていて、その気になればいくらでも話せるような環境が普通にあることには本当にびっくりしました。
思っていた以上にNBAって意外と身近みたいです。。。

肝心のゲームの方はと言うと、うまくいった部分とうまくいかなかった部分がはっきりと別れましたね。
合計3試合こなして、最初の2試合はアシスタントコーチとして、最後の1試合はヘッドコーチとして臨みましたが一回も勝つことはできなかったです。

スタッツを見ていただければ分かるのですが、自分が采配したGAME3については、個人的にはかなりシステムを機能させることができたと思います。一番下に「Lead Change 8 Number of ties 7」とありますが、これは両チーム間で“リードが8回交代した” “同点が7回あった”ということを表しています。
実際に試合も残り5分くらいまでシーソーゲームに持っていけてたのですが、システム以外の部分でアドバンテージを取られたことが一番の敗因になってしまいました。

システムは自分なりに手応えを感じましたし、一緒に戦った選手たちともマッチしていたと思います。
では、我々のチームと対戦相手と何が一番違ったのか。
自分なりに色々考えたのですが一番の違いはやはり「アタック」ですね。
これは我々と言うよりも「日本人」と言い換えても良いと思います。(生意気ですが。。。)


世界との差

日本人だってもちろんリングに対してアタックしますから、「じゃー何が違うんだよ」という話になるのですが、一番の違いはリングまでの軌道ですね。
個人的な見解としては、もうまったく別物なくらい違います。

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とにかく向こうの選手のドライブは直線的です(もちろん毎回ではないですが傾向として)。
そしてファウルされたり、ディフェンスとぶつかっても突進力があるので、止まらずゴールまでアタックしてきます。

文字で言うと伝わりづらいのですが、もうねー本当に止まらないんですよ。
ザックラヴィーンのドライブとか目の前で見ましたが、壊れたマニュアル車みたいに1速から4速に急にシフトチェンジ!!って感じでまっすぐディフェンスをなぎ倒してドライブしてAND1取っていましたから。

こういった直線的なドライブに対して、日本人のドライブは軌道がカーブを描いていてソフトなことが多いです。
そしてコンタクトを受けるとどんどんと外に膨らむのでリングまでアタックできないことも多い。

まずここが大きな違いだと感じました。

そして次に感じたのはペイント内のシュートスキルと球際の強さですね。

外国の選手、特にガードはレイアップのバリエーションが多い。
シュートをリリースするポイントやタイミング、シュートに行く前のディフェンスに対する体の当て方、本当に色々な引き出しを持っています。小学生の子ですら体をうまくディフェンスに当ててユーロステップ、ギャロップステップ、フローターを使ってペイントアタックしてきます。

アイザイア・トーマスが2mクラスの選手のヘルプとブロックを2~3人かいくぐってレイアップをガンガン決めているのを目の前で見て本当に驚きました。

多分アイザイアよりも早い日本人はけっこういると思います。
アイザイアよりもサイズがある日本人のガードも山ほどいます。
でもなんで175cmしかないアイザイアがあれだけペイントの中でシュートを決められるか。
これは日本人が持っていないスキルだと思いますし、育てないといけないスキルでもありますね。
スピードの変化のつけ方と体の使い方、シュートの打ち所のバリエーション、見習うところだらけでした。

でもこれはアイザイアに限ったことではなく、あまりスキルがない選手や街中で草バスケをしている人達を見ても、しっかりと体を当ててブロックされないようにシュートを打っているんですよ。
そういったところを見ると、やっぱり日本人のアタックスキルはまだまだ未熟なんだなーと感じますね。

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あとは球際!!
これはもう本当に差が出ますね。
向こうの選手はとにかく球際に強い。ボールを簡単に失わないでんですよ。ボールを両手で持つ強さが日本人と比べてかなり強いんだと思います。

そしてルーズボールの反応もめちゃくちゃ早い。
ここらへんは身体能力の差ではないので早く埋めなくてはいけない世界との差ですし、すぐに埋められる部分だとも思います。
※ちなみに英語では「ルーズボール」ではなく「Looseball」と言います。

それともう一つ、これは優位性のある差なのかわからないですが、アウトサイドからのシュートフォームがきれいではない選手や特徴的な選手が多いです。
だからといって「Seattle Pro-Am」のレベルになるとシュートが入らないわけではないのがまた面白いんですよね。

日本はとにかく型にはめようとする傾向が強い気がします。

 「ワンハンドのシュートフォームはこう」
 「ボールの持ち方はこう」
 「シュートを構える時はこのスタンスをとる」
 「シュートはボードのここに当てる」

指導の現場でよく聞かれる言葉かと思います。
日本ではどこかで「人と違うのはダメだ」、みたいな空気があるのでみんなが似たようなフォーム、プレースタイルになってしまうのではないでしょうか。

前回からの繰り返しになりますが、バスケットボールの目的は「シュートを決める」ことで、「きれいなシュートフォームで打つこと」ではありません。
たとえ特徴的なフォームでもシュートが入るのであればアリなのかなー、と。
もちろんフォームを修正した方がシュートが入るのであれば、フォームを変えても良いかもしれません。

でもあまり変わらないのであれば、それはそれで個性なわけだし、画一的なシュートフォームよりは面白いと思います。なによりも守っている時に相手が変わったシュートフォームだとブロックしづらいですしね。

しかも今は4スタンス理論というものもあり、すべての人に同じフォームが当てはまらないと言うことが立証されています。。。(4スタンス理論については、また違う機会に話をしたいなと思っています。)

シュートに限らず他の様々なスキルについても、プロの世界ではある程度完成された選手が入ってくるのでそこからフォームを大きく修正することは難しいです。
しかし育成年代ではいくらでも修正することができます。
だからこそ画一的な選手を育てるのではなく、個性を尊重しつつスキルを伸ばしてあげることが、これからの日本にとっては大事なんだと思います。

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Seattleで見えたこと

僕が今回Seattleで学んだこと、感じたことは数え切れないくらいありますが、まず自分の中で確立できた「日米の差」「世界との差」と言うのは

①ドライブの軌道
②アタックスキル
③球際の強さ

です。
これはあくまでも僕から見た違いであって、実際はまったく違うかもしれません。
でも行かなければこの違いすら分からなかったですし、判断基準も持つことができませんでした。

アースフレンズ東京Zのアシスタントコーチとして2年前の春に取材をしていただいた時は「海外にコーチ留学」なんてまったく現実感がありませんでしたが、まさかまさかその1年後に実現するとは本当に驚きです。
実現するに当たって、色々な人のご協力ご支援があったことはもちろんですが、支えてくれる一人一人の思いも常に忘れないようにしなければと改めて今回思いました。

人は一人では生きていけないからこそ、他者との共存や思いやりが大切。
チームや組織も同じですね。
すべてが繋がっていると思います。
細かいこと、小さいことでもおろそかにせずに一つ一つ誠実に向き合って頑張っていきたいと思いますし、自分の経験を少しでも色々な人に共有できれば良いなと考えています。

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今NBDLはリーグ終盤戦になり、僕たちはプレーオフ争いをしている真っ只中です。
プレーオフ出場、リーグ優勝を目指すのはもちろんですが、優勝がゴールではありません。
リーグ優勝はあくまでもプロセスであって、アースフレンズ東京Zの目的は「世界へのチャレンジ」です。

一つ一つのプロセスを大切にしながら今シーズン、そして次のシーズンも全力で戦っていきたいと思います。